泌尿器科では腎・膀胱・前立腺・精巣の癌に対する治療はもとより、尿路結石症、前立腺肥大症、尿失禁などの尿路の疾患に対し、地域の基幹病院として、患者さんの病態に応じた最適な医療を提供できるよう心がけております。
前立腺癌に対しては、PSAの測定、生検を積極的に行い、早期発見に努めております。もし癌が見つかった場合には、年齢や、病気の進み具合によって、手術療法、放射線療法、ホルモン療法などを組み合わせた最適な治療を提供できるよう心がけております。手術療法に関しましては、2013年9月よりダ・ヴィンチシステムが導入され、ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺全摘術を開始し、現在までに553例に施行しております。
膀胱癌に対しては、進行した膀胱癌には、原則的には膀胱全摘術を行い、尿道が温存できる場合には小腸で新しい膀胱を造り、自然排尿可能となる手術を行っております。また、2018年6月より、膀胱全摘術も前立腺癌と同様に、ロボット支援腹腔鏡下に行い、現在までに56例に施行しております。出血量も少なく、治療経過は良好です。膀胱温存を希望される場合には、内視鏡を使った手術と抗癌剤の注射と放射線治療を組み合わせた治療を1996年度より96人の患者さんに行っており、5年生存率約80%の良好な成績を得ております。
腎・尿管癌や副腎腫瘍に対しては手術療法が中心になりますが、腹腔鏡を使った傷の小さな手術を積極的に行い、2019年度までに492症例(ロボット手術は除く)を経験しております。腎癌では大きさによっては患部のみ切除する部分切除術を行っており、2016年9月より、前立腺癌と同様に、手術支援ロボットを使用したロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を行っております。現在までに104人の患者様に行い、治療経過は極めて良好です。
また、2022年3月より国産発のロボットシステムであるhinotoriが導入され、前立腺癌手術から使用を開始しています。
尿路結石には体外衝撃波結石破砕術や内視鏡を使った手術を行っており、多くは通院治療で行っております。また、2012年よりレーザー治療が可能となり、f-TUL(軟性尿管鏡を用いた手術)も提供しております。
前立腺肥大症に対しては、2012年度よりHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)を開始しております。また、女性の腹圧性尿失禁に対して、尿道スリング手術(TVT手術)を行っております。