2011年より成長期のアスリートを対象とした外来診療を開始、2015年より院外2施設を含めた「子ども達のためのスポーツ診療所構想」を立ち上げ現在に至ります。放課後の診療を継続する中での現状と取り組みを紹介致します。
症例と問題点
対象は打撲、捻挫、肉離れ等早期の手術適応とはならない症例、あるいは(前十字靭帯損傷など)手術後の専門的なリハビリ症例としています。当初より鵞足炎やジャンパー膝など筋拘縮が原因となる疾患が多く、症例に応じた消炎処置、ストレッチ、筋力強化、調整運動等を経て早期復帰を目指しています。最近の傾向として腰痛症例が増加の一途にあり、その6割以上が腰椎分離症であることは特筆すべき!と思われます。
治療のこだわり
院外2施設では4~13名のPTが個別に応対します。消炎処置はほぼ全例アイシングを、亜急性期以降は温冷交代処置を行います。ストレッチ、筋力強化に関しては前方、側方、後方とバランスよく実施、ウォーキングからランニングへの移行の目安は「動的な骨盤安定性の獲得」としています。以降、段階的なステップアップを経て早期の復帰を目指します。
腰椎分離症に関して
後屈時の腰痛が(目安は2週間以上)継続する場合、分離症の可能性を考え全症例にX線・CT・MRI検査を実施します。病期の正確な判定にはCTとMRIの両者が必要です。「たぶん筋膜性だろう…」との見込み治療の結果、複数の偽関節を生じた症例もございます。「腰痛の半数以上は分離症!」を念頭に早期の確定診断と適時な治療を行うことが極めて重要です。
よりよいスポーツ環境構築へ向けて
多くの症例は医業類似行為を経ての受診であり、確定診断のつかないまま中途半端にスポーツ活動を継続することで症状の悪化をきたした事例もあり、X線検査等を含めた確定診断は整形外科でしか行えない事の(保護者や指導者を含めた)共通認識が必要です。
正確な診断と(手術適応も含めた)治療方針の決定ができれば、的確なリハビリ指導で多くののスポーツ障害は快方へ向かいます。が、難治症例にはいくつかの「こだわり」が必要です。お困りの際にはどうぞお気軽にご紹介下さい。また引き続きましてのご指導ご鞭撻の程、どうかよろしくお願いいたします。