2011年より成長期のアスリートを対象とした外来診療を開始、2015年秋より院外2施設を含めた「子ども達のためのスポーツ診療所構想」を継続するも、2020年以降はコロナ禍で中断しておりました。この度、院内での診療を下記の通り再開いたします。
症例と問題点
対象は早期の手術適応とはならない症例(打撲・捻挫・肉離れ等)、あるいは(前十字靭帯損傷など)手術後の専門的なリハビリ症例としています。当初より鵞足炎やジャンパー膝など筋拘縮が原因となる疾患が多く、症例に応じた消炎処置、ストレッチ、筋力強化、調整運動等を行います。最近の傾向として腰痛症例が増加の一途にあり、その半数(51.9%)が腰椎分離症であることは特筆すべき!と思われます。
治療のこだわり
当科では担当PTと柳田が個別に応対します。急性期はほぼ全例にアイシングを、亜急性期以降は温冷交代処置を行います。ストレッチ、筋力強化は前方、側方、後方とバランスよく実施、ウォーキングからランニングへの移行の目安は「動的な骨盤安定性の獲得」としています。以降、段階的なステップアップを経て早期の復帰を目指します。
腰椎分離症に関して
後屈時の腰痛が(目安は10日以上)継続する場合、病期を正確に判定するため全症例にX線・CT・MRI検査を実施して確定診断と病期判定を行います。最速で2~3ヶ月、病期によっては4ヶ月以上の治療が必要です。「腰痛の約半数は分離症」を念頭に早期の確定診断と適時な治療が重要です。
よりよいスポーツ環境構築へ向けて
多くの症例は医業類似行為を経ての受診であり、確定診断のつかないまま中途半端にスポーツ活動を継続することで症状の悪化をきたした事例もあり、X線検査等を含めた確定診断は整形外科でしか行えない事の(保護者や指導者を含めた)共通認識が必要です。
正確な診断と(手術適応も含めた)治療方針の決定ができれば、的確なリハビリ指導でほとんどのスポーツ障害は快方へ向かいます。が、難治症例にはいくつかの「こだわり」が必要です。お困りの際にはどうぞお気軽にご紹介下さい。また引き続きましてのご指導ご鞭撻の程、どうかよろしくお願いいたします。