当科は現在、放射線診断常勤医2名と放射線治療常勤医1名、非常勤放射線診断医1名と放射線治療医3名で放射線診療業務全般に取り組んでいます。
放射線診断では、64列マルチスライスCT、80列マルチスライスCTや1.5テスラMRI、3テスラMRI、核医学でのSPECT装置など最新の放射線機器が導入されています。
IVR(Interventional Radiology:放射線機器を用いた低侵襲治療)に関しては、肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法では、従来のTACEを始めとして、薬剤溶出性ビーズによる最新の治療法も実施しております。そして、門脈圧亢進症に対するカテーテル治療、化学療法や在宅療養のためのCVポート造設術も行っています。
また、下肢閉塞性動脈硬化症や透析シャント不全に対する経皮的血管形成術・ステント留置術やIVR-CTを使用した膿瘍などのドレナージ、腫瘍生検なども行っています。さらに、救命救急センターと連携して外傷性出血に対する緊急の止血術にも、24時間体制で対応しております。このようにIVR手技全般に幅広く対応しており、2019年度のIVR件数は340件となりました。
核医学部門においては、骨シンチなどの通常検査に加えて、近年は高齢者に対する脳血流シンチやダットスキャンなどの頭部検査が158件となるなど、核医学全体では749件となりました。
放射線治療に関しても、姑息的照射だけではなく根治的放射線治療にも意欲的に取り組んでおり、県立粒子線医療センターや神戸低侵襲がん医療センターとも緊密に連携しております。乳腺外科や泌尿器科、脳神経外科など院内診療科からの依頼にとどまらず、県立がんセンターなどの近隣の中核医療機関や医師会の先生方からも多数のご紹介をいただいております。このため、2019年度の放射線治療患者数は244件となっています。以上のような対外照射だけではなく、骨転移に対するSr-89の放射線内用療法や去勢抵抗性前立腺癌骨転移に対するRa-223による放射線内用療法も行っております。また、2016年度から放射線科が直接治療ベッドを管理できるようになり、入院での放射線治療も柔軟に対応できるようになっております。必要に応じて、緩和ケア対応も行っております。