当リウマチ膠原病センターで診療している患者さんは、総勢約3400名で、その内訳は関節リウマチが約4分の3を占めますが、その他、シェーグレン症候群、強皮症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症、混合性結合組織病、多発性筋炎/皮膚筋炎、RS3PE症候群、ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎;MPA,多発血管炎性肉芽腫症;GPA,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症;EGPA)、乾癬性関節炎、スチル病、ベーチェット病、サルコイドーシス、強直性脊椎炎、高安動脈炎、結節的多発動脈炎、特発性血小板減少性紫斑病、掌蹠膿疱症性関節炎、巨細胞性動脈炎など多岐にわたっています。当リウマチ膠原病センターでは、兵庫県下はもとより西日本のリウマチ膠原病診療の拠点となるべく診療を続けていく所存であり、従前と変わらず、兵庫県下全域、さらには近隣府県からの患者さんを広く受け入れますので、患者さんは勿論のこと、地域の先生方、また、兵庫県下の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、関節リウマチの治療はここ10数年でパラダイムシフトといわれるほどの変革を遂げました。バイオテクノロジーのめざましい進歩により、関節リウマチに非常に効果のある生物学的製剤(注射)やJAK阻害剤(経口薬)が処方可能となり、関節破壊が生じていない早期から系統だった治療を行なうことにより、関節変形を防止することも夢ではなくなっています。当センターでも生物学的製剤の中で、点滴静注製剤の投与を受けている患者さんが168名、皮下注製剤の投与を受けている患者さんが109名と多くの方がその恩恵に浴しています。さらにJAK阻害剤などのシグナル阻害剤(サイトカインネットワークを調整する)も次々に上市されており、関節リウマチのみならず、自己免疫疾患全般の治療も様変わりしていくものと思われます。
ただ、これらの画期的な治療をすべからく安全にかつ有効に遂行していくためには、医師のみならず多職種が連携したチームワーク医療が大切なことはいうまでもありません。この点がリウマチ膠原病センターが開設された所以であり、センターを運営していくうえに非常に重要な点です。このことを踏まえて今後もリウマチ膠原病センターの拡充を進めていきたいと考えています。
その手始めとして、定期的に、加古川医師会と共催して医療者向けの「加古川リウマチカンファレンス」、患者さん向けの「リウマチ教室」を開催していますので、多数の方のご参加をお待ちしております(現在はコロナ禍のなかでいずれも中止しています)。