当科は旧県立加古川病院時代から、東播磨圏域における整形外科診療の中核として、高度専門医療を提供してきました。特に脊椎疾患や関節外科手術が多いことが特徴でしたが、2009年の新築移転後は、骨盤骨折や多発外傷、脊椎脊髄損傷などの重症3次救急の対応も可能となり、これら重度外傷の緊急手術も非常に多く行っております。2次救急外傷についても積極的に受け入れており、整形外科全体の手術件数も県内屈指となりました。
脊椎疾患(脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど)
関節疾患(変形性関節症や関節リウマチに対する人工関節、関節鏡手術など)
骨折・外傷(大腿骨近位部骨折など2次救急外傷から骨盤骨折、多発骨折、脊椎・脊髄損傷などの3次救急外傷までを含む。)
スポーツ傷害(半月板損傷、靱帯損傷など)
リウマチ外科(2016年4月からリウマチ膠原病センターの開設に伴い、手術件数も増加)
手の外科(当院は日本手外科学会認定研修施設です)
など小児先天疾患と悪性骨軟部腫瘍を除く様々な運動器疾患の診療を行っています。
2020年~2022年は、Covid-19(新型コロナウイルス)感染対応のため、外来患者数、手術件数などの診療実績はコロナ前年からかなり落ち込みました。しかし2023年には新型コロナ感染症が5類扱いとなって、総手術件数も1404件(2022年1284件)となり、コロナ禍の2020年~2022年から回復してきております。
年間手術件数:1,404件(2023年度)
脊椎手術 | 232 |
---|---|
椎間板ヘルニア | 36 |
脊柱管狭窄症 | 88 |
頸髄症 | 47 |
脊椎損傷 | 22 |
人工関節手術 | 99 |
THA | 26 |
TKA | 71 |
外傷手術 | 517 |
四肢骨折 | 380 |
大腿骨近位部骨折 | 108 |
骨盤骨折 | 29 |
関節鏡手術 | 32 |
靱帯再建(ACL) | 8 |
手の外科(手根管症候群など) | 150 |
足の外科(外反母趾など) | 99 |
当科の脊椎外科診療は2018年4月より脊椎外科センターとして運営されております。脊椎外科初診は、月、水曜日の整形外科初診1で受け付けております(月曜:原田名誉院長、水曜:高山部長、木曜:青木部長)。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアのような日常診療でよく遭遇する疾患だけでなく、脊椎損傷や脊椎の転移性悪性腫瘍による脊髄麻痺の緊急手術なども多く行っております。(脊椎外科センターについては別掲にて詳述)
一般の整形外科で扱うことの多い高齢者の大腿骨近位部骨折や2次救急外傷だけでなく、高エネルギー外傷に伴う多発骨折などの重傷外傷の治療を行っております。高エネルギー外傷等重症例では救急科、脳神経外科、形成外科等と連携して、集学的な外傷治療を行っています。
変形性関節症や関節リウマチに対する人工関節手術や、膝半月板損傷に対する関節鏡下手術を行っています。
半月板損傷に対しては近年「Save the meniscus」の概念で、可能な限り温存する方向で治療しています。前十字靱帯損傷に対しても、当院スポーツ整形外科(担当:柳田部長)と連携して、術後リハビリも継続して行っています。
変形性股関節症や変形性膝関節症に対しては、変形に応じた手術アプローチやインプラント選択での人工関節手術を行っています。適切な周術期管理や疼痛コントロール(関節内カクテル注射や神経ブロック等)、早期離床、リハビリテーションを進めることで術後の良好な機能回復を図っています。さらに近年は、人工股・膝関節手術においてポータブルナビゲーションシステムを使用し、骨の変形に惑わされることなく正しい角度での人工関節設置を行っています。従来の方法と比較して、骨髄腔に与える侵襲が少なく、出血抑制や脂肪塞栓症候群などの合併症の予防にも効果があります。
2016年4月よりリウマチ膠原病センターが開設され、リウマチ外科(特に手外科、関節外科)の機能が加わりました。リウマチの手術については、火、金曜日のリウマチ科外来などでご相談ください。リウマチに関連したどのような症状でもご相談に応じます。
当院のリハビリテーション科では、一般アスリートを対象にスポーツ整形外科診療も行っています(担当:柳田部長)。ここでは、icing等の基本的な消炎処置やストレッチ、筋力強化等のアスレティックリハビリテーションを中心に行い、早期のスポーツ復帰を目指しています。
超高齢化社会の到来に伴い、骨粗鬆症患者は激増しており、椎体骨折に対するBalloonKyphoplasty(BKP)や脊椎固定術、大腿骨近位部骨折の手術が増加しています。しかし、骨粗鬆症の治療は手術で終了するわけではなく、投薬を含めた系統的な治療の継続が必須です。
当院が中心となって、大腿骨近位部骨折や脊椎椎体骨折の地域連携パスを導入し、2016年度からは骨粗鬆症治療の継続と再骨折の予防を目指した「東播磨骨粗鬆症地域連携ネットワーク」の運用を開始、さらに2019年度からは「骨粗鬆症センター」を立ち上げました。月、水曜日の午後診で骨粗鬆症外来を行っており、骨粗鬆症の診断と薬剤の導入を行い、症状が落ち着けば薬剤の継続をかかりつけ医にお願いしています。(骨粗鬆症センターについては別掲にて詳述)
当科では以前より、初診は原則として紹介患者様のみを対象とし、再診も術後急性期以外の通院患者様は地域の医療機関に逆紹介させていただく方針を取っています。また当院では高度専門医療(手術など)に集中できるよう、”かかりつけ医を持ちましょう ” キャンペーンを推進しています。開業医の先生方にはぜひとも ” かかりつけ医” となって下さいますようお願い申し上げます。
当科では前述のように、専門外来として骨粗鬆症外来(月曜午後担当:上藤医長、水曜午後担当:北山医長)とスポーツ整形外来(月曜、木曜午後担当:柳田部長)、リウマチ外科外来(火曜、金曜担当:中川部長、上藤医長)を開設しています。骨粗鬆症に関するご相談は骨粗鬆症外来まで、スポーツ傷害でお困りの症例があればスポーツ整形外来へ、リウマチの手術についてはリウマチ外科外来まで、お気軽にご紹介ください。
初診患者様のご紹介は、地域医療連携部へFAXあるいはWeb予約をお願いします。予約なしの紹介状のみでも診察いたしますが、予約患者さんが優先となります。
緊急の場合や整形外科救急の転送に関しては、時間内は地域医療連携部、時間外は夜間・救急受付へお電話の上、整形外科医とご相談ください。
紹介患者様の入院対応においては、積極的に受け入れるよう努めておりますが、原則として手術を前提とする患者さんを優先させて頂いております。安静、リハビリ等の保存治療目的での入院対応は困難な場合もあることをご了解下さい。
また、当科では急性期医療に専念するため、地域医療連携部を通して術後早期の患者様の転院をお願いしていますので、ご理解とご協力をお願いします。
当院は2011年3月に地域医療支援病院として承認を受けました。当科としても、皆様のご支援を得て、より一層地域医療連携を推進する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
当院は、JOANR(日本整形外科学会症例レジストリー)に参加しています。
なお、ご自身の診療情報を研究に使用してほしくない方は申し出てください。それを理由に不利益を受けることはありません。
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