当脳外科では、脳腫瘍、重症外傷、また内視鏡手術と機能系の手術が多いのが特徴です。その症例のバリエーションは大学病院とほぼ同じであり、逆に脳出血や脳梗塞、慢性硬膜下血腫などのcommon diseaseは少なめです。
専攻医は、これらの疾患に対して、適切な初期対応、主治医として根拠を持った治療方針の発案、病棟での精神面のケア含めた患者の管理が行える、など、とりあえずの重点事項と考えています。脳外科施設として、ハイボリュームセンターと言えるような多数の症例があるわけではありませんが、若手脳外科医において、勉強になる、脳外科のセンスを磨くような疾患、症例の割合は多く、学術活動も含め有意義な研修となるよう、我々スタッフも努力を重ねています。
専攻医(後期研修医)となる3年目からは、脳神経外科専門医になるために必要な専門知識と実践経験の養成、技術の習得が目標となりますが、当院の脳外科では、単なる専門医取得のみならず、将来的に脳外科のプロフェッショナルとして広く活躍できる人材の育成を最大の目的としています。
脳外科病棟では上級医と共に主治医の一人として入院患者の診療を行い、何時でも上級医へのコンサルト、相談ができる状況としています。脳外科医のみのカンファレンスの時間は設けていません。重症の脳卒中や頭部外傷など三次救急患者搬送時には、救急医と共同で初期診断、初期治療を行います。毎朝の救急医との合同カンファレンスに参加します。当直業務は2-3日/月、脳外科オンコールは、独り立ち(数ヶ月後)の後は10日/月程度です。
専攻医は基本的に全ての手術に参加します。operatorとしては穿頭術からですが、上級医の指導のもと一つ一つの手術をきっちりと自分のものにしていけば、外傷や血管障害の開頭手術の執刀も行える能力は自ずと身に付くと思われます。血管内手術においても同様で、まず脳血管撮影検査が独立して行えるようになることが第一です。マイクロサージェリーでは、実体顕微鏡および微小血管吻合の練習器(医局内に整備されている)を用いた反復練習も重要であり、一定の技術が身に付けば、学年に関わらず顕微鏡手術の機会が与えられます。
抄読会は適宜行い、常に英語論文に触れるようにしています。専攻医の学会発表は4-5回/年程度の頻度で、上級医の指導のもと論文作成も1本/年以上を目標に行っています。
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