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糖尿病には医師・看護師はじめ多職種のチームで対応。内分泌疾患には全領域で専門医療を提供しています。
糖尿病・内分泌内科

糖尿病が気になる人のための食事相談室

食事療法の効果が現れません。いやになります。

食べる量、食べた量を意識しよう。

「食事療法の効果がちっとも現れない」と訴える患者様に出会うことがあります。確かに食事療法は即効性があるものではなく、やる気がそがれてしまうこともあるでしょう。しかし、食べていないという人に限って、実際はコントロールが悪い分だけ多く食べているものです。

食事療法がうまくいっている人の食事記録を見ると、指示エネルギー量が守られている日ばかりではありません。ところが、食べすぎることがあっても、「食べた」という意識があるせいか、次の食事や翌日の食事で量を減らすなど調整をしています。

逆に、食事療法の効果が現れない人の多くは、無意識のうちに食べるので食べすぎた分の調整をすることはなく、長期的にはかなりのエネルギーオーバーとなります。下記に無意識下の食行動パターンをいくつか示しました。心当たりのある方が多いのではないでしょうか。

食べる量、食べた量を意識することから改善していきましょう。また、食事療法がうまくいかない原因が運動不足によることもあります。たとえ食事の量が増えていなくても、消費エネルギー量が減ればコントロール不良の原因になります。特に冬の寒い時期にも動作は鈍くなるためによく見られるケースです。

一方、中には食事療法も運動療法もしっかりと行っているのに、なかなか効果が現れない人もいます。もどかしいこととは思いますが、開き直って過食するのでは病状は悪化するばかりです。現状維持も一つの効果だということも忘れずに根気よく続けていけば、必ずコントロールはよくなるはずです。

無意識下の食行動に気づこう

食べているという意識がないままに、かなりのエネルギー量を食べている人があります。まずは意識して食べるように心がけましょう。

❶ その一口に注意!

わずかな量のつもりでも、その食行動が習慣になって、コントロール不良の原因になります。また、実はエネルギーがさほど低くないものを、低いと誤解して食べていることもあります。ありがちな食習慣をエネルギー量で示しました。

トーストトーストにマーガリンとジャムの両方を塗ると、マーガリンだけの時と比べてジャム大さじ1杯分で53kcal増し。
コーヒー砂糖1袋(6g)をいれると、無糖時と比べて23kcal増し。
サラダのドレッシングドレッシングはオイルを使用しているので、ドレッシング大さじ1杯分はノンオイルと比べて45kcal増し。
ロースハムハムが1枚残ったので食べて片づけたとすると、1枚で41kcal増し。
こんにゃくゼリーこんにゃくはたくさん食べても太らないと聞いていたので、口寂しいときに食べると、1個で40kcal増し。
のどあめのどあめは、のどにいいからいつもポケットに入れている。2個で23kcal増し。
❷ 大盛りに注意!

大皿に盛ると1人分の量がはっきりしないので、多めに作りがち、食べがちになります。特に下にあげたような一口大の料理、色々な材料や調味料が入っている料理は要注意です。1人分のでき上がり量とそのエネルギー量を示しました。大皿盛りのときはこれより多く食べていることが多いのでは?

鶏の唐揚げ4個で198kcal
かぼちゃの煮物4切れで93kcal
ちらし寿司1人前で255kcal
❸ 表示の落とし穴に注意!

「低エネルギー」「無脂肪」等の栄養成分の強調表示は、その含有量が一定の基準を満たすことが義務づけられています。これを「栄養表示基準制度」といいます。視点を変えれば、これらの表示があるものは基準を満たしているだけで、エネルギーがないわけではありません。エネルギー量までチェックし、食べすぎないようにしましょう。一方、「砂糖不使用」の表示は、砂糖を原料として使用していなければ表示することができます。砂糖と同等の栄養・生理的効果のある水あめなどを使用している可能性があり、「砂糖不使用」=低エネルギーとなりません。また、「甘さひかえめ」という表示は味覚に関するもので、栄養成分ではないので基準の対象外になります。

「低」「無」などの表示について遵守すべき基準

表示無・ゼロ・ノンなど低・ひかえめ・ライトなど
栄養成分食品100g(飲用の液状では100ml)あたり食品100gあたり飲用の液状食品
100mlあたり
エネルギー5kcal 未満40kcal以下20kcal以下
脂質0.5g未満3g以下1.5g以下
糖質0.5g未満5g以下2.5g以下