❶低侵襲性の追求と早期回復
ロボット手術全般の特長である低侵襲性(小さな傷での手術)に加え、hinotori™では、手術鉗子を動かすアームの関節数が増加し、可動域が広くなりました。これにより、より狭いスペースでの繊細な操作が可能となり、体への負担の少ない、より精度の高い手術を実現します。
hinotori™サージカルロボットシステムは、国産初の手術支援ロボットです。
2020年8月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年12月に販売を開始して以降、国内の複数のご施設にて臨床で使用されています。
対象となる診療科は泌尿器科、消化器外科、婦人科および呼吸器外科です。海外では、シンガポールを皮切りにグローバル展開が進められています。
hinotori™は、オペレーションユニット、サージョンコックピット、ビジョンユニットの3ユニットで構成されます。
手術を実施するオペレーションユニットのアームはヒトの腕に近いコンパクトな設計で、アーム同士やアームと助手の医師との干渉を低減しより円滑な手術の実現をサポートします。
執刀医が操作するサージョンコックピットは、執刀医一人一人の姿勢に合わせるため人間工学的な手法で設計されています。手術は長時間にわたることもあり、執刀医に負担がかかることが課題でした。このサージョンコックピットは執刀医の負担を軽減し、ストレスフリーな手術をサポートします。
ビジョンユニットは精緻な手術を実施するために、サージョンコックピットに高精細な内視鏡の画像を3Dで映し出します。さらにマイクやスピーカーの設置により、執刀医と助手の医師とのコミュニケーションをサポートし、チームとして効率よく手術を実施するための工夫が施されています。
hinotori™は、以下の特長により患者様への負担を軽減し、質の高い手術を提供します。
ロボット手術全般の特長である低侵襲性(小さな傷での手術)に加え、hinotori™では、手術鉗子を動かすアームの関節数が増加し、可動域が広くなりました。これにより、より狭いスペースでの繊細な操作が可能となり、体への負担の少ない、より精度の高い手術を実現します。
当院で2025年3月まで稼働していた米国製手術ロボットda vinciと比較し、可動域の拡大により、比較的小柄な日本人の体型に、より適した手術操作が可能となります。
術野を描出する手術画面が水平方向に広くなり、画像解像度も上昇しました。これにより、手術部位だけでなく周囲臓器の状態も同時に確認しながらの手術が可能となり、従来機種と比較して術中の安全性が更に高まりました。
当科では2013年に前立腺癌に対しましてロボット手術を開始し、これまでに800人以上の患者様に安全に手術を施行しています。その後、2016年に腎部分切除術、2018年に膀胱全摘除術、2023年に腎全摘除術、腎尿管全摘除術を順次開始し、2025年からは前述のすべての手術をhinotori™にて施行しています。
前立腺癌手術におきましては、癌を完全摘除すると同時に排尿機能や性機能の温存も図る神経温存手術にも取り組んでいます。また膀胱癌に対する膀胱全摘除術後の尿路変向術に関しましても、すべてhinotori™を用いた確実な手術を施行しています。腎臓癌に対しましては、癌を完全に摘除すると同時に正常腎組織をできるだけ温存し、将来的な腎不全を予防するような取り組みをしています。
当院泌尿器科医3名が、hinotori術者認定を取得しております。また、他の2名の医師もhinotori助手認定を取得しております。
更に他院の泌尿器科医に対して手術指導が可能となるプロクター資格(腎、副腎、膀胱、前立腺の癌手術に対する)を2名の医師が有しています。