当科は10年以上乳腺疾患を専門とした診療を続けてきた日本乳腺学会の認定施設です。診療面では診断・治療・術後ケア(リンパ浮種・ホルモン療法)・遺伝カウンセリング・緩和ケアまで一貫して行っていけるような体制をとっています。中規模の総合病院の利点を生かし様々な診療科の協力を得て患者さんを支え、緩和病棟が併設されており最後まで診療にあたる気概を持って患者さんに接しています。
医師のほかにも乳腺診療に必要な経験と資格を取得したスタッフが充実しています(がん化学療法認定看護師、リンパ浮腫療法士、緩和ケア認定看護師、がん薬物療法認定薬剤師)。
当科の診療項目
乳がんの治療においては、日本乳癌学会の診療ガイドラインに基づいた標準治療を基盤として、個々の患者さんの課題に寄り添う『がんチーム医療』に重点をおいています。
乳がん患者の平均年齢は他のがんに比べ10歳以上若く、ホルモン療法などは長期にわたります。医師(乳腺外科・緩和ケア内科)・看護師(病棟・外来・化学療法室・放射線科)・薬剤師が患者様・家族を支えていくために毎週ミーティングを行い、チームとして個々の患者さんがより良い治療を受けられるよう話し合っています。
病理医が常勤しているため、術前・術中・術後の病理診断が充実しています。乳腺病理を専門とする病理医のバックアップによるカンファレンスを定期的に行うことにより医師および臨床検査技師の技術の亢進に取り組んでいます。
術中迅速病理診断を駆使することで適正な乳房温存手術を行い、センチネルリンパ節生検を行いQOLの高い術後生活が送れるよう努めています。近年要望の多くなった乳房再建に対しては乳房再建用エキスパンダー・インプラント手術(一次一期・一次二期・二次再建すべて)の実施施設認定を毎年更新し、形成外科とともに積極的に乳房再建に取り組んでいます(保険適応)。乳腺の良性腫瘍や乳輪下膿瘍に対する手術も行っています。
乳がん手術の後遺症であるリンパ浮腫に対し、リンパ浮腫療法士(看護師)による複合的理学療法を行っています(現在のところ自費診療)。通常の外来診療時にも適宜セルフケアの指導を行っています。
遺伝性乳がんが乳がん診療に重要な位置を占めるようになった現在、遺伝カウンセリングには積極的に取り組んでいます。
毎月第4木曜日に患者会を開催していました。対象は乳がん患者さんとご家族で、同じ体験・悩みを持つ仲間同士が語り合い・学び・支え合う会を目指しています。当院に受診歴がなくても参加可能です。
乳がん患者さんの10%は再発し、いずれは亡くなることも事実です。乳がんの転移臓器は全身にわたり、再発後の経過が長いことが特徴です。当院では総合病院の利点を生かして、緩和ケア内科をはじめ各専門内科・放射線科・脳神経外科・整形外科・精神科等、数多くの診療科の協力を得て、患者さんの様々な症状に対応し、予後およびQOLの改善に努めています。緩和病棟における専門スタッフによる終末期医療も満足度が高く、「がんチーム医療」のモデルケースとして内外にアピールしていきたいと考えています。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |||
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手術 | 乳腺良性腫瘍手術 | 19 | 21 | 26 | 50 | 26 | |
乳癌乳房温存 | 61 | 78 | 75 | 70 | 87 | ||
乳癌乳房切除 | 77 | 91 | 90 | 110 | 80 | ||
その他手術 | 6 | 3 | 10 | 15 | 15 | ||
外来化学療法件数 | 857 | 935 | 922 | 1253 | 1258 | ||
乳がん地域連携パス利用症例数 | 18 | 59 | 69 | 63 | 86 |
日頃より多くの患者さんをご紹介いただきありがとうございます。当科では乳がんだけではなく乳腺の良性疾患についても幅広く診療しています、乳腺について不安をもたれている患者さんがおられましたらご紹介をお願いいたします。今後ともよろしくお願いします。
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