副院長 兼 脊椎外科センター長 髙山博行
2018年4月に当院に脊椎外科センターが開設されて以来7年になります。コロナ禍の2020年~2022年は診療制限もありましたが、現在はそれもなくなり、昨年度は過去最高の手術件数(365件)を記録しました。非常に多くのご紹介を頂き、誠にありがとうございました。
手術は最新の機器、手技を導入し、できるだけ低侵襲を目指しています。椎間板ヘルニアなどの手術は、原則として内視鏡や顕微鏡を使用しての低侵襲手術を行っています。低侵襲だけでなく、脊椎手術では非常にデリケートな脊髄神経を扱うことも多いため、可能な限り術中脊髄機能モニタリングを併用して安全に努めています。
一方で、脊椎の著しい変形やすべり症、多椎間の脊柱管狭窄症などで広範囲の脊椎固定術を要する症例も増えています。こういった手術は、侵襲が大きくなりますが、少しでも侵襲を小さくするために経皮的スクリュー固定や、前側方アプローチによる椎体間固定術:Lateral Lumbar Interbody Fusion (LLIF)も取り入れています。後方の筋肉や神経周囲を触らないため、安全でかつ出血も少なくなります。
解像度の高い術中CT撮影可能な透視装置Oアームを導入し、最新のナビゲーションシステムとの連動により、より低侵襲かつ低被爆、正確性の高い脊椎スクリュー挿入が可能となりました。ナビゲーションには即時性と正確性の両方の利点があり、より早くより安全な手術が可能です。現在は、脊椎損傷などの緊急手術だけでなく、脊椎固定術全例にナビゲーションを使用しています。
高齢者の骨粗鬆症による椎体骨折も増加しており、BKP(骨折椎体をバルンで膨らませて整復してセメントを注入する手術)も行っています。手術は20分以内、5mm程度の傷が2つ程度の超低侵襲手術であり、即時的に痛みを軽快させる効果があり、より早い離床が可能となります。
椎間板内に注入することにより、椎間板内の水分が吸収されて内圧が下がり、椎間板ヘルニアを縮小させるという作用機序です。ヘルニアのタイプによっては手術と同等の成績が報告されています。当院はコンドリアーゼ注入療法の認定施設であり、数多くの使用実績があります。
脊椎疾患は専門施設、専門医に治療が委ねられる傾向が強くなっています。当院は日本脊椎脊髄病学会認定指導医が2名常勤しており、今後も皆様のご期待に応えるべく、安全確実かつ先進的な診療を目指してまいります。今後とも「脊椎外科センター」をよろしくお願い申し上げます。
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