当救命救急センターは、以下の専門医施設に認定されています。
国内の救命救急センターは、地域の救急医療事情や院内体制などにより施設毎に独自の診療システムがあり、その診療形態もいわゆる北米型ER救急から主として重症病態に対応する救急医療まで千差万別です。
当センターでは❶病院前救急診療(ドクターカーの運行、兵庫県ドクターヘリの運航管理)、❷重症度および緊急度の高い傷病者に対する救急・集中治療、の2点を救急科専任医師が行っており、「ひとりの重症救急患者さんを病院前から病状が安定するまでの間、一貫して診療する」ことが特色と言えます。
当センターでは以前より重症傷病者事案や多数傷病者発生事案において、ドクターカーによる病院前救急診療を行ってきました。2013年11月からは兵庫県ドクターヘリの運航管理を開始し、現在は県立はりま姫路総合医療センターと共同運航(週5日間を当センターが担当、残り2日間を県立はりま姫路総合医療センターが担当)の体制をとっています。運航範囲は播磨地域を中心とした広大な地域が対象であり、内因・外因を問わず様々な病態の病院前救急診療に携わっています。
ドクターヘリ運航の目的は兵庫県の救急医療システムの一部を担い、傷病者の救命や後遺症軽減に寄与することにあります。現場出動の際には、短時間で効果的な医療活動を行いながら、傷病者の重症度および生活圏を考慮し、適切な医療機関へ搬送することを心がけています。
2022年度、兵庫県ドクターヘリの総出動件数は、566件(現場出動468件、施設間搬送40件、離陸後キャンセル58件)であり、当センターからの出動件数は442件でした。
❶救急初期診療におけるABC(A-気道、B-呼吸、C-循環)の評価とそれらを安定化させるための種々の蘇生処置の施行(気管挿管による気道確保、人工呼吸、体外式肺補助装置を用いた肺酸素化能の補助、PCPSによる循環補助に加え、初療室開胸・開腹、初療室穿頭といった救命のための外科的処置など)、❷病態評価と治療戦略の決定、❸手術や内視鏡治療・TAE(経カテーテル的動脈塞栓術)といった決定的治療の施行、❹引き続いて行われる集中治療(呼吸・循環・体液・栄養・感染管理)や早期リハビリテーションなど、急性期診療の重要な部分を救急医が責任を持って行います。
これら診療の過程で診療科毎の高度な専門的治療が必要となった場合は、院内各診療科の協力を仰ぎ、適切な時期に専門的治療を行います。このようなflexibilityの高い運用は、単独型救命救急センターでは得られない特徴であり、また、救急医が主体となって一貫した診療を行うことは、多発外傷や多臓器不全といった単独の診療科では対処し得ない重症患者さんの救急診療を行う上で極めて重要なことと考えています。
具体例として以下のような傷病を診療対象疾患としています。
その他、近隣医療機関において対応が困難な救急患者も可能な限り受け入れを行うよう努めて参ります。
当センターのスタッフは、救急科医師18名(専攻医2名含む。)により構成されています。夜間は2~3名の救急科医師のほかに臨床検査技師や放射線検査技師、薬剤師が常駐し、必要に応じてオンコール医師を招集して救急診療を行います。救命救急センター専任医師の専門性は、以下のとおりです(重複あり)。
日本救急医学会 指導医/救急科専門医 | 2名/16名 |
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日本外科学会 外科専門医 | 2名 |
日本集中治療医学会 集中治療専門医 | 5名 |
日本内科学会 認定医 | 2名 |
日本内科学会 総合内科専門医 | 1名 |
日本小児科学会 指導医/専門医 | 1名/1名 |
日本麻酔科学会 麻酔科指導医/専門医 | 1名/2名 |
日本整形外科学会 専門医 | 1名 |
日本脳神経外科学会 専門医 | 1名 |
日本脳卒中学会 脳卒中専門医 | 1名 |
日本外傷学会 外傷専門医 | 1名 |
日本熱傷学会 熱傷専門医 | 1名 |
日本消化器病学会 専門医 | 1名 |
日本消化器内視鏡学会 専門医 | 1名 |
日本老年医学会 老年病専門医 | 1名 |
麻酔科標榜医 | 3名 |
JATECインストラクター | 3名 |
日本DMAT登録隊員 | 5名 |
内訳 | 2022年 | 2023年 |
要請件数 | 3,607 | 4,134 |
応需件数 | 2,307 | 2,777 |
応需率 | 64.0% | 67.2% |
救命救急センターに入院された患者さんのご家族へ向けた『PICS(集中治療後症候群)』について、動画で解説しています。ぜひご覧ください。
当センターでは、外傷や疾病を問わず24時間体制で重症救急患者さんの診療を行っています(ただし、産婦人科疾患および小児疾患は除きます。)。ご紹介の際は、救命救急センター担当医までご連絡いただければ幸いです。また、ドクターヘリ事業は地域医療機関の皆様の協力なくしては成り立たないものであり、今後ともご理解、ご協力いただきますようお願い致します。
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